Vintage 2020
Zinfandel
2020年は比較的早くから暖かく、順調に葡萄が育ち実の色付き(ヴェレゾン)が早く進んだ。近くのワイナリーに行き聞いてみると同様な情報を仕入れることができる。冬の雨は平均より少ないので水やりの量はそれなりに十分必要である。干ばつの時は木を枯らしたことがある経験から水の量には神経質になる。問題は動物によって実が狙われる事。それは今後の大きな課題である。
春の整え
フロントヤードにあるZinfandelは通りすがりの人から良く見られるのでなるべく立派に葡萄の実を付けたいと思う。葡萄の手入れをしていると人に良く声をかけられる。「これは食べる葡萄ですか。」と言われると、「いいえワイン用です」と答える。種類を聞かれるとZinfandelと答える。「Oh, nice!」と言われるとお世辞と判っていても嬉しい。
春にはたくさんの雑草が生える、それは決して抜かない。抜いてしまうと地面にいる微生物もいなくなる。微生物は葡萄の木にとってとても大切だ。木の下には石を敷き詰め、保水効果と夜の放熱で昼間と夜の寒暖さを出させる。フランスのボルドーワインで有名なシャトーマルゴの畑の写真を見ると石で敷き詰められている。
一昨年に出た枝がそろって上を向いていないので枝があちらこちらを向いている。1、2年後の事を考え芽は常にまっすぐ上向きで出て来る様芽を選んで生かせる。少し勿体なくとも芽を摘んでしまう勇気が必要。(2020年4月初旬)
2年目の葡萄
昨年地植えした苗が順調に育ってきている。春に一斉に目が出て花も付き始めた。今年は我慢して全て切り落とす。ワイヤーに沿ってT字に枝を伸ばしてコードン(アーム)を作る。昨年はとにかく自由に伸ばしたが今年は形を整える。
自宅で栽培する場合日当たりも十分考えなければならない。春にどの程度太陽が当たるか、隣の家の木々が伸びてきて陰になる場合もある。ワイヤーもコードンのところと、それに平行に上の方にも張ることで枝が安定する。枝が伸びると風の強い日はあおられ折れることもあるので気を付ける。育てながら環境を整えて行く。(2020年5月初旬)
花芽
目が出ると花の蕾が一つの枝に二つばかり付く。元気の良い方を残して一つ切り落とす。切り落とした小さな房は若葉と一緒に天ぷらにして食べる。ほんのり葡萄の味がして珍味。
一つ一つの粒が葡萄のとなるが、今までの経験だと実が出来過ぎて詰まってしまいかびたり腐ったりする。そこでハサミで花芽を切り少なくする。これが結構大変な作業。どれだけやるのか経験が必要。若い木はそこまで密集しないが、5,6年の木は良く実が成り過ぎて大胆に切り落とさないと効果がない。(2020年5月初旬)
葡萄の開花
葡萄の花が咲いたら葡萄が出来る準備完了。(2020年5月中旬)
鳥対策
葡萄が熟すとその熟した葡萄だけを狙って鳥が突っつく。網と光るテープで葡萄を守る。今年は塀に近い所のピノがなんとネズミにやられた。ネズミは最も手ごわく、網も噛み切って侵入してくる。さらに綺麗に葡萄の実を食べつくす。その他に蜂や虫が実を食べてしまう事もある。地面の草を伸ばすと虫が寄り付くみたいだ。(2020年8月中旬)
収穫
朝5時起きで収穫の準備。寒暖の差があるカリフォルニアでは朝は寒い。実の成長はバラバラで収穫を2回に分けて行った。糖度計で糖度を測って収穫時期を見極める。天気予報で今後の気候も判断しながら収穫日を決める。朝食前にすべて摘み取り、その後枝から身を外す。根気のいる作業だが家族皆でやると楽しい。
今年はBarberaはバケツに一杯、Zinfandelは二杯採れた。Pino Noirはネズミにやられて全滅。(2020年8月下旬と9月上旬)
Grape Stomp
足で葡萄を踏み潰すのが一番手っ取り早い。大人の足ではバケツは小さすぎるので孫を呼んで手伝ってもらった。ワイナリーでは機械を使って潰すが、種まで潰れて苦味が出る事があるとのこと。足で潰すのが一番だとワインメーカーは言う。
発酵開始
予め発酵が進んでいる少量の葡萄で作ったスターターを昼過ぎにそっと入れるとその夜には天然酵母が全体に広がり、次の日には活発に泡が出てくる。この時点でバケツの中は二酸化炭素で一杯になり葡萄が酸素に触れて酸化する心配はない。
日に3回ほど混ぜて、皮がしっかりと葡萄ジュースに浸かって色とタンニンが出る様にする。この時点での温度管理は結構大変で、温度が高いと発酵が早く進みすぎ、温度が低いと発酵が止まってしまう。